マンションを売却する際には、税金の負担が気になるところです。売却する不動産の価値が高く取引額が大きいほど、かかる税金も相対的に増えてしまうため、税金や控除制度などについて理解を深めておくことが大切です。本記事では、マンション売却にかかる税金の種類と負担を軽減するためのコツを解説します。売却前にしっかりと準備しましょう。
マンションの売却でかかる税金の種類
マンションを売却する際には、さまざまな税金が発生します。
これらの税金は、必ず支払うものと、条件によって支払う必要があるものに分けられます。それぞれの税についてみていきましょう。
全員が支払う税金
マンションを売却する際には、利益の有無に関わらず、売主は必ず印紙税と登録免許税を支払う必要があります。
印紙税は、売買契約書に貼付する印紙代として課される税金で、売却価格に応じて異なります。たとえば、売却価格が1,000万円以上5,000万円以下の場合は2万円の印紙税がかかります。一方、登録免許税は名義変更時に支払う税金で、抵当権抹消や所有権移転の際に必要です。
抵当権抹消登記は通常、売主が負担し、所有権移転登記は買主が負担します。税率ですが、所有権移転に関する登録免許税の通常税率は0.4%です。住宅の不動産価格では0.02%ですが、2026年3月31日までの軽減措置により0.015%となっています。
売却利益が出た場合に支払う税金
マンション売却によって利益が生じた場合、譲渡所得税を支払う必要があります。
この税金には、所得税、住民税などが含まれ、これらを総称して譲渡所得税と呼びます。しかし、マンションが居住用財産である場合、特別控除が適用されます。売却益が3,000万円以内であれば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」が利用可能です。
さらに、10年以上所有したマンションの売却には10年超所有軽減税率の特例も併用できます。ただしこれらの控除を受けるには、確定申告が必要です。
仲介を依頼した場合の税金
不動産会社に売買の仲介を依頼した場合、仲介手数料に消費税がかかります。
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で定められており、成約価格に応じて変動します。具体的には、成約価格の200万円以下の部分には5.5%、200万円以上から400万円以下の部分には4.4%、400万円超の部分には3.3%が上限です。
これに消費税が加算されるため、成約価格に応じた金額を支払う必要があります。
税金を払うタイミングとは?
マンションを売却する際には、さまざまな税金が発生しますが、それぞれ支払うタイミングが異なります。
以下では、おもな税金の支払時期と手続きについて説明します。
印紙税
印紙税は、売買契約が成立した時点で支払います。
具体的には、郵便局などで収入印紙を購入し、契約書に貼り付け、消印を押すことで納付が完了します。この際、購入しただけでは納付したことになりません。万一、収入印紙の貼り忘れや消印の押し忘れがあると、印紙税の3倍額の過怠税が徴収されるおそれがあります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更時、すなわち物件の引き渡し時に支払います。
納付方法は原則として現金納付で、金融機関の窓口に納付書を提出して支払います。ただし、税額が3万円以下なら、収入印紙を登記の申請書に貼り付けて登記所に提出しても納付可能です。
譲渡所得税
マンションを売却した翌年の確定申告時に、所得税の支払いを行います。
確定申告は通常、2月16日から3月15日に行われるため、売却後に忘れずに申告を行うことが重要です。不動産売却が赤字となり損益通算を行う場合や、繰越控除の特例を適用する場合には、所得税の還付申告を2月15日以前に行うことも可能です。
住民税
住民税は、特別徴収と普通徴収の2つの方法があります。
特別徴収は給与所得者が対象で、毎月の給与から差し引かれる住民税に合算されます。この場合、不動産売却による住民税が通常の住民税に加算される形となります。
一方、普通徴収は給与所得者以外の人が対象で、売却翌年の6月頃に各自治体から送られてくる通知書と納付書にもとづき支払います。普通徴収の住民税は一括払い、または6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて支払うかのどちらかになります。
税金は安くできる?負担軽減のコツとは
マンションを売却する際に、税金負担を軽減するためのさまざまな制度が存在します。
以下では、代表的な減税や控除制度について紹介します。
登録免許税の減税
マンションの売却にともなう所有権移転登記や抵当権設定登記では、登録免許税の減税が適用されることがあります。
とくに住宅用不動産については、床面積が50平方メートル以上で、新築または取得後1年以内の登記の場合に減税対象となります。具体的な軽減税率や要件は国税庁のサイトで確認することが重要です。
登記の申請書とともに住宅用家屋証明書の提出が求められるため、必要書類に不安がある場合は専門家に相談するのもひとつの手段です。
3,000万円特別控除の特例
マイホームを売却して利益が出た場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
この特例を受けるには、売却する物件に住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却する必要があります。ただし、新しい家を購入する場合の住宅ローン控除との併用できないため、買い替えを検討している人は注意が必要です。
マイホーム売却時の軽減税率の特例
自宅として使用していたマンションを売却する場合、この特例で課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下なら税率が10%、6,000万円を超える部分には15%が適用されます。これは所有期間が10年以上の物件が対象です。
相続財産の譲渡における取得費の特例
相続で取得したマンションを売却する場合、この特例を利用すると、相続税を支払ったあとに譲渡益への課税が軽減されるため、税負担を軽くできます。
まとめ
マンション売却の際は、税金がどれだけかかるのか、どんな控除があるのかを理解し、適切な対応をすることが重要です。とくに、控除の適用条件や税率の変動には注意が必要です。また、税金の支払時期はそれぞれ異なります。各手続きを忘れずに行うことで、余計なペナルティを避け、スムーズな売却手続きを進められます。負担をなるべく軽くしたいなら、控除制度をうまく活用することで、売却時の税金の負担を軽減することが可能です。手続きの方法や条件などの詳細な情報は、国税庁のサイトで確認しましょう。